2013年11月20日水曜日

Wed 21 / Juana Molina (2013)


アルゼンチン音響派、Juana Molinaの5年ぶり(!)6枚目となるアルバムが発売。
ずっと好きでデビューから追いかけている人なのですが、年を重ねる毎にどんどん面白くなっていっていて最高です。常に前作を越えてきます。今作も相変わらず面白く、例えるなら「組織的な混沌」だとか「荒れ狂った川」。エクスペリメンタルで刺激的なサウンドを静かに熱く展開する彼女から、目が離せない。



アートワークは、紙ジャケで、空けると中面に深いブルーの盤面に、黒で草花が描かれている。
今作のアートワークは枯葉とブルーがテーマになっていて、ほぼ、この2色+黒で構成されている。
青が映えて、とれも美しい。







ダンスする、こちらのMVもグッドですね!ちょっとシュバンクマイエル的な感じ。

Fans / Malcolm McLaren (1984)


先日書いたしたヴァレンティノのコレクション動画に使われていて、あまりにカッコよかったのでCD買ってしまいました。マルコムマクラーレンの作品なのですが、今作ではオペラの名曲をバレアリックに大胆にアレンジし、めちゃくちゃカッコよく仕上げています。マルコムと言えば、元祖ヒップホップとも言われ、フレンチだったり、作品によって様々なテーマの作品を作りますが、こんなカッコイイオペラのアルバムがあるとは未チェックでした。
ちなみに1曲目と6曲目に用いられてるMadam Butterlfy(蝶々婦人)や、 2曲目と4曲目でつかわれてるTurandotというオペラは、日本や中国などを舞台にしたものらしいす。




2013年11月12日火曜日

Seasons Of Your Day / Mazzy Star (2013)

 


90年代、ゆるやかなアコースティックサイケ、シューゲイザーを奏で絶賛されたMazzy Star、
なんと3rd『Among My Swan』以来17年振りのリリースとなる4thフルアルバム。
ゆったりとしたアコギのストローク〜アルペジオ、淡くにじんだトーンでなだらかに奏でられるノスタルジックなギター・フレーズ。シンセ〜オルガン〜ピアノなどの柔らかい鍵盤楽器に、ヴォヴラフォン、ハーモニカ、ペダル・スチールなども取り入れたデリケートなフォーク・サウンドが心地よい。
Hope Sandovalのボーカルはとても憂鬱そうで、何ともいえないアンニュイで染み渡る感じ。
夢見心地になれる、ゆったり心地よいドリームポップな作品。ドラマーにはマイブラのコラムが参加。ジャケットデザインは、bill evansのwaltz for debbyを思い出してしまいました。



2013年11月10日日曜日

Black Radio 2 / Robert Glasper (2013)

もはや説明不要。前作BLACK RADIO1ではグラミー受賞。ロバート・グラスパーのフィーチャリングシリーズ(BLACK RADIO)第2段です。
予約して購入し、もっぱら車で夜のドライブ中に聴いてますが、前作からの期待を裏切らないそれ以上の作品。甘くてとてもお洒落。
ゲスト人も超豪華。JAZZラップのシーンはある程度完成された感があると思うけれど、それをふまえた上でも充分に聴ける、特に現在のマスの音楽シーンの中においては最上級の作品と言えるでしょう。


うーん、カッコイイ。



VALENTINO SPRING/SUMMER 2014



毎シーズン、コレクションの音楽はチェックするようにしてるのですが、いつも楽しみにしているメゾンの一つがヴァレンティノです。今回も洋服の世界観を見事に表現しアップデートして見せる素晴らしい選曲で魅了してくれました。
コレクションのテーマは「オペラとストリートの融合」
音楽も、オペラをNEW WAVEの手法で調理したマルコムマクラーレンに名曲、MASAM BUTTERFLYを中心にオペラを織り交ぜながらドラマチックに展開していく。

舞台衣装のエッセンスを、リアルクローズに落とし込む。ショーで表現されたのは、デコラティブでゴージャスな空気感の中に、エッジィさを重ねたスタイル。オペラの華やかな美しさと、ストリートの鋭さの融合。このアプローチにより、リアルクローズという概念からは距離を取る一方で、伝統にモダンな輝きを与えていった。想像上の民族に着想を得たというエスニック調の柄は、様々なテイストで展開。この装飾性を、透け感や、ドロップショルダーにマイクロミニのスカート丈、ゆるやかなシルエットで現代的にアップデート。軽やかなネットやオーガンジーは、部分的に使用され、スタイルから鋭い表情を引き出している。華美かつ繊細でいて、破壊的。これらの複雑に絡み合った要素こそが、新たな美を生み出す。

以下曲順
Casta Diva (Norma)' by Vincenzo Bellini
'Closer Dancer' by Closer Musik
'Madame Butterfly' by Malcolm McLaren
'O Mio Babbino Caro' by Giacomo Puccini
'Kyoko's House (Stage Blood is not Enough)' by Philip Glass

2013年11月6日水曜日

PORTRAITS IN SEA / POP-OFFICE (2013)

本日発売、名古屋を拠点に活動する3ピースPOP-OFFICEのファーストアルバムです。
アルバムのアートワークを自分が担当させていただき、個人的にも、とても思い入れのある作品となりました。
シューゲイザーのノイズを柔らかく纏い、でもそのノイズは怒りでも空虚でもなくて、美しく力強い輝きを放っているような作品。
「歩くため」で感じる、どことなく後期Cocteau Twinsを彷彿とさせる綿密に計算されたギターワークの中にあるポップネス。クリーンで爽やかなサウンドから、引っ込んだ轟音へと展開する冒頭の「Something Black」などが印象的。
そして「Young Town」で聴けるドラマチックなラインをなぞる展開の瞬間はとてもカッコイイ。個人的に一番好きな曲。
インディポップ、NEW WAVE、アーバンソウル、ポストロック、シューゲイザーなど様々な要素を感じるアルバムで、リーダー島田くんの幅広い音楽嗜好とセンスが発揮され、様々な要素のサウンドとドラマチックな展開を手にいれた意欲作。今を生きるバンドとしての個性は素晴らしく高いと思う。これからも期待、そして応援し続けていきたいバンドである。

では、昨日にひき続き、アルバムのアートワークを紹介していきたいと思います。ではいってみましょう。



ジャケットです。Yukie Morita氏撮影の美しい写真を、Bill Evansのような絵画的で美しい装飾にしたいと思いデザインしました。とにかくジャケットは美しくカッコイイものをという信念があって、フォントだけでも10種類程新たに購入したりダウンロードしたりで用意し、当てはめていき煮詰めていき完成しました。


 帯デザインです。情報は可能な限り排除し、フォントの美しさを見せるミニマルなデザインに徹しました。


裏ジャケです。他にもさらにミニマルなデザイン、白ベース、色々作ったのですが、最終的にこちらに着地しました。



CDを空けた中面、ディスクレーベル面です。ミニマルデザインの中に咲く桜の写真絵画、パッケージを空けた時のインパクトはかなり強くできたと思います。



バックインレイ(中面)です。同じく桜の写真絵画。




続いてはブックレットデザインです。デモを聴いた時、とても美しいと思ったのが第一印象で、その世界観を、淡い色彩のグラデーションで曲毎に作っていきたいなと思いました。
歌詞も暗く美しいので、なるべくその他の装飾は削ぎ落としてミニマルに作りました。



朝→夜へ

深夜→朝へ


前半4曲と後半4曲のイメージを、薄いカラーとモノクロの連の花で表現しました




ミニマリズムからの広がりだったり解放をイメージして作った抽象的グラフィック。POP-OFFICEはこれからも進化するでしょう。

最終ページはPOP-OFFICEの世界観をイメージした水彩画の抽象作品と、クレジットです。






TOWER RECORD 名古屋栄パルコでの展開

点と線でも販売しております!POP-OFFICEをイメージした花をデコレーションして展開中です。
買いに来るだけでも大丈夫ですので、三重県の方、是非宜しくお願いいたします!!



2013年11月5日火曜日

Days Are Gone / HAIM (2013)

 カリフォルニア出身の3姉妹によるファーストアルバム。US版ELLEに掲載されてたのがキッカケで、アルバムの出る半年くらい前から注目していたバンドです。(ファッションと髪型がいかにもカリフォルニアのガールズ・ロックバンド!ってムードがプンプンしていて、とてもお洒落で良い感じ。)
ただ音源購入は、YOUTUBEで見ていたライブのグルーヴ感があまり表現されてなくて随分爽やかで大衆的ポップな仕上がり(多分、売る為にあえてしてないんだろうけど)ですぐ飽きそうだったので、見送りかなーっと思っていたのですが、ジャケットのデザインを見た瞬間、衝動買いしてしまっていました。
ジャケットデザインって、自分の中ではある意味で音楽よりも大切な要素だったりもするので、近年の手を抜いたアートワークが多いCDデザインの現状には、疑問を感じずにはいられません。(主にポピュラーミュージックのジャンルにおいて)僕が本当に思うのは、メディアへの掲載も多い大衆をターゲットにするポピュラーのジャンルだからこそ、絶対に手を抜いてはいけないと思うのです。
市場縮小で売れないとか予算がないとかは全く理由になってなくて、デザインの力って人の心はもちろん経済までをも動かす事ができると僕は信じています。

話が脱線しそうなのでこのくらいにしておきますが、実は明日発売のPOP-OFFICEというバンドのCDのアートワークを自分が作らせていただいたのですが、これをキッカケに再びCDのデザインについて考察することが増えました。
と言う事で、今後は新譜の音楽の紹介と共にアートワークも良い作品は撮影して紹介していきたいと思います。(ただし、時間の余裕があれば、ですが。)では、第一回はHAIM。いってみましょう。




 ジャケットです。紙ジャケで、3人のポートレートに左右上部分に、やや太めのフォントの白文字です。もうこの写真が完璧ですね。隙が全くありません。完全にやられました。色使いがいいし、構図がいいし、ポーズもいいし、ファッションもいい(サングラス良い感じ)。髪型を、中央の女の子だけ片方に寄せているのも効いています。ベンチはアメリカヴィンテージを用意したんでしょうね。シートのテキスタイルが古き良きアメリカを感じさせます。
写真の質感はかなりザラつかせていて(ユルゲン・テラーが撮りそうな感じ。実際はPierre Aurouxという写真家)サウンド同様70~80年代のフィルムの雰囲気。



中面です。パッケージを開けると、今度は同じテキスタイルの1人掛けビーチチェアに腰かけた3人の姿が。質感はよりザラつきが強調されていて、精度の粗い写真を拡大してピンボケさせています。 ファッション写真の世界では完全にシャープネス主流ですが、僕はこういうボケた写真大好きです。

中面その2。この写真もカッコイイです。 


ディスクレーベル面デザインです。カラーパレットは淡いクリーム系のイエローとブラックの2色。ミニマルにまとめられていますが、まわりに円状に配置された黒棒が効いていて、淡いイエローを引き締めています。


裏ジャケです。こちらはオフオワイトに黒文字。フォントはサンセルフ系でミニマルにまとめられています。


こちらは中に装入されていたミニポスター。リラックスしたムードで、質感はポラロイド風です。


ミニポスター裏面は、歌詞とクレジットがバランスよくびっしりと。この曲タイトルのフォントが凄くいいな。欲しい。こちらもサンセルフ系。


こちらは街頭宣伝用のポスターデザイン。情報を最小限に絞り、フォントもバランスもいいし、とてもカッコイイです。
恐らく何枚も並べて貼るのを計算してあえて小さめに作られたデザイン。